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国際教養大学 故・中嶋嶺雄 学長への弔辞 [■ブログ■]


去る、3月17日。

先月14日にお亡くなりになられた、

国際教養大学 中嶋嶺雄 学長 の大学葬が執りおこなわれ、

席上、寺田も弔辞を述べさせていただきました。

以下に、その全文を掲載いたします。


 

■中嶋学長への惜別のことば■

 

 中嶋学長、この世の勤めを終えるには、あまりにも突然で、早すぎました。誠に残念であります。

 国際教養大学設立のきっかけは、ミネソタ州立大学機構秋田校の経営難の改善と、文部省(当時)認可の大学にしてほしいという要望を受け、何とかしなくては、と1997年の暮に大学を視察したところから始まりました。雪に囲まれた夜のキャンパスに明かりが灯り、ひたすらに勉強している学生たちの姿を見て、既存の大学にはない、エネルギーと将来の可能性を感じました。

 当時、日本の国際化対応が先進国の中で遅れているといわれており、1998年4月、当時の文部省から迎えた板東副知事に対策を求め、2000年4月「国際系大学(学部)検討委員会」が発足しました。

 委員には、できるだけこれからの大学を改革できるような、グローバルな視野を持つ人材を育成できる人を、と板東副知事にお願いして、メンバーには、元国連事務次長の明石康さん、(公立大学法人)宮城大学の野田一夫学長、秋田県商工会議所会頭の故・辻兵吉さんなど、先進的な方々に集まっていただいたなかで、座長として、当時、東京外国語大学の学長をされていた中嶋嶺雄さんに白羽の矢が立ちました。これが中嶋学長との出会いでありました。

 今までの日本にない、全く新しい大学を0から創ることは、ドンキホーテ的、いわゆる空想的な理想主義者と受け止められたのでしょう、多くの人が失敗すると思い、反対の声もたくさんありました。県議会では否決され、知事選の争点にもなりました。それでも、座長の中嶋さんと委員の皆さんが、これからはこういう大学が必要だという意見を支持してくださり、県庁の事務局スタッフも、私も諦めませんでした。多くの反対を受け、時間がかかったことで、逆に構想を熟成させ、さらに発展させる時間が取れました。

 今までの日本の大学にはない大学を地方が作るのだ、という強い思いから、中嶋座長はじめ委員の皆さんが出してくる要望はどれもレベルが高い難題ばかりでした。

 授業は全て英語でおこなう。全学生に留学を義務付ける。少数精鋭で、教授陣は、日本人にこだわらず世界中から集める。

 これらを実現するには、公立大学を独立行政法人化して、学長に強い権限を持ってもらう必要がありました。とにかく実現に向けてすべてが大変でありました。

 中嶋さんが、地方の未知の大学をお引き受けくださった背景には、奥様の後押しとお支えがあったと伺っております。奥様、本当にありがとうございました。

 学長をお引き受けいただいた後も、開学に向けてその高い理想や情熱をクリアしていくのは正直難儀な事でした。しかし、これは私自身も望み、願ったことであります。

 国際教養大学は、既存の日本的・ガラパゴス的な大学に対するイノベーションであると同時に、地方からの大きなチャレンジでした。難題を乗り越えて実現できたのは、皆さんからたくさんの厳しいご意見をいただいたおかげです。そして、今の国際化社会の中で、日本国内ばかりでなく、世界で注目される大学にまで育ったのは中嶋学長の功績であります。

 学生諸君にお伝えしたいことは、国際教養大学は、設立当初から、日本の普通の大学のように、入りさえすれば卒業できるという大学ではなく、必死に学ばなければ、卒業できないことも織り込み済みの大学です。間口は広くても出口は狭い大学にしました。そのことにも厳しすぎるという意見もありました。

 実際、4年間で卒業できる人は50%未満です。中嶋学長も入学式でみなさんを迎えた時に「力をつけた学生だけを卒業させる。」「4年で卒業という概念は捨ててほしい。」とお話しされたかと思います。しかし、それを堅持することは、設立に際しての私から中嶋学長へのお願いごとであり、同じ考えをお持ちだった中嶋学長から学生諸君への厳しくて温かい贈り物でもあります。

 中嶋学長、あなたは、グローバルスタンダードな大学を目指して、日本の大学改革と、将来の日本を背負う人材育成に、最後の最後まで努めてくださいました。この国の教育改革には失うことのできない人材でした。

 先日、そんな中嶋学長を育んだ、故郷の信州・松本に行き、街を歩き、険しくそびえ立つ風雪の北アルプスの山々を見てまいりました。心残りは、あの山々を一緒に登りたかった。

 国際教養大学は、中嶋学長の想いを継いで、これからも高い嶺を目指していくことでしょう。どうか、安らかにおやすみください。

   平成25年3月17日 

 

国際教養大学特別功労教授 寺田典城
 

 


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